結論:言語ごとに分けて、比べながら育てる
訪日客向けのGoogle広告では、英語・韓国語・中国語などを1つのキャンペーンにまとめるより、言語ごとに分けたほうが、どの言語に予算を使うべきかを判断しやすくなります。言語によって、表示のされやすさや来店につながる割合が大きく違うことがあるためです。
・1つのキャンペーンの中で、広告文とリンク先の言語をそろえる
・Googleマップは「近くにいる人に知ってもらう面」、検索は「探している人を逃さない面」と役割が違う
・1期間の結果で判断せず、数期間の傾向で配分を見直す
知っておきたい:2026年の言語設定の仕様変更
Google広告のヘルプでは、2026年9月以降、検索キャンペーンと、P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)のうち検索に表示される部分について、キャンペーン単位の言語設定を使わず、広告文やリンク先の言語などをもとに表示が判断される方式に変わると案内されています。検索以外の面(YouTube、ディスプレイなど)の扱いはキャンペーンの種類によって異なります。
この変更によって、「キャンペーンの言語設定で絞る」よりも「広告文とリンク先を、その言語で正しく作る」ことの重要性が高まると考えられます。英語の広告文なのにリンク先が日本語のページ、といったちぐはぐな組み合わせは避けましょう。仕様は今後も変わる可能性があるため、設定の際はGoogle広告の公式ヘルプで最新の内容を確認してください。
※この後で紹介する運用データは、この変更の影響を切り分けて集計したものではありません。変更後は傾向が変わる可能性もあります。
データで見る:言語別に分けると何が見えるか
enrike編集部の運営会社が、2026年の夏〜秋に札幌市内の飲食店で運用した訪日客向けGoogle広告(P-MAX、英語・韓国語・繁体字中国語、複数期間の配信)では、言語ごとにキャンペーンを分けて配信していました。集計すると、次のような違いが見えました。
| 言語 | 表示の割合 | クリック率 | クリック単価 | 来店行動につながる割合 | 来店行動の割合(全体比) |
|---|---|---|---|---|---|
| 英語 | 3〜4割 | 1〜2% | 20〜30円 | 10〜15% | 5〜6割 |
| 韓国語 | 4〜5割 | 2〜3% | 10〜20円 | 5〜10% | 2〜3割 |
| 繁体字中国語 | 1〜2割 | 1〜2% | 20〜30円 | 10〜15% | 2〜3割 |
※数値は特定の店舗が分からないよう幅で表記しています。「来店行動」は、ルート案内の表示など来店につながる操作として計測した値で、来店数そのものではありません。
言語をまとめて配信していたら、全体の平均しか見えず、「韓国語は表示もクリックも多いが、来店行動につながる割合は低め」「繁体字中国語は表示は少ないが効率は英語に近い」といった違いには気づけません。さらにこの事例では、期間によって言語ごとの効き方が入れ替わることもありました。言語別に分けておけば、こうした変化にも合わせて予算を動かせます。
Googleマップと検索、2つの面の役割
P-MAXなどのキャンペーンでは、設定によって広告がGoogleマップや検索結果など複数の面に表示されることがあります。同じ運用データを表示面別に見ると、役割の違いがはっきりしていました。
| 表示面 | 表示の割合 | クリック率 | クリック単価 | 来店行動につながる割合 | 来店行動の割合(全体比) |
|---|---|---|---|---|---|
| Googleマップ | 9割以上 | 1〜2% | 10〜20円 | 5〜10% | 6〜7割 |
| Google検索 | 1割未満 | 5〜10% | 50〜100円 | 30〜40% | 3〜4割 |
Googleマップは、近くにいる多くの人に「ここにお店がある」と知らせる面です。表示が多く、クリック単価は低い一方、クリックしても来店行動まで進む人の割合は控えめでした。Google検索は、店名やジャンル名で能動的に探している人に届く面です。表示は少なくクリック単価は高めですが、来店行動まで進む割合は高く、結果として来店行動1件あたりの費用はマップとほぼ同じ水準でした。
つまり、どちらが優れているかではなく、マップで「知ってもらう」、検索で「迷わず来てもらう」という役割分担と考えると分かりやすくなります。なお、この事例ではYouTubeやGmailなどへの表示はほぼ発生しませんでした。
言語別キャンペーンの組み立て方
- 目標(コンバージョン)を決める:飲食店や観光施設なら、ルート案内や電話など「来店につながる操作」、宿泊施設や予約制の施設なら予約完了など、何を成果として数えるかを先に決めます。
- 配信する地域を決める:旅行中の来店を狙うなら、施設の周辺や、観光客が多く滞在するエリアを中心に設定します。
- 言語ごとにキャンペーンを作る:まずは英語から。2つ目以降の言語は、地域の旅行者の傾向や自施設の客層で選びます。
- 広告文をその言語で作る:見出しや説明文は、配信する言語で自然な表現にします。機械翻訳を使う場合も、可能ならその言語を母語とする人に確認してもらいましょう。
- リンク先の言語をそろえる:英語の広告なら英語のページ、韓国語の広告なら韓国語のページへ。Googleビジネスプロフィールの情報も、あわせて最新にしておきます。
- 予算は小さく、均等から始める:最初は言語ごとの予算を大きく変えず、反応を比べられる状態をつくります。
- 数期間ごとに配分を見直す:来店行動1件あたりの費用や件数を言語別に見て、配分を少しずつ動かします。
広告文に入れたい3つの要素
旅行中の訪日客に向けた広告文では、次の3つを各言語で伝えると、行き先として検討してもらいやすくなると考えられます。
- 場所の手がかり:有名な観光スポットや駅からの近さなど、旅行者が位置をイメージしやすい情報
- 営業時間:今から行けるかどうかが分かる情報
- 次の行動:「ルート案内で行き方を確認」など、地図アプリでの次の操作を促す一言
リンク先となる公式サイトの多言語ページの整え方は、直予約を増やすステップで紹介している公式サイトの考え方が参考になります。
効果の見方:4つの指標を言語別に並べる
| 指標 | 意味 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| クリック率 | 表示された回数のうち、クリックされた割合 | 広告文や写真が目に留まっているか |
| クリック単価 | 1回のクリックにかかった費用 | 安いほど良いとは限らない(来店行動につながるかが別) |
| コンバージョン率 | クリックのうち、成果(来店につながる操作や予約)に至った割合 | リンク先や地図上の情報が十分か |
| コンバージョン単価 | 成果1件あたりの費用 | 言語間で比べ、予算配分を決める主な材料 |
前述の事例のように、クリック単価が安い言語が、成果1件あたりでは割高になることもあります。クリック単価だけで「この言語は効率が良い」と判断しないようにしましょう。
注意点:広告ならではのルール
- 表示のルールは外国語の広告でも同じ:根拠を示せない最上級の表現や、効果を保証するような表現は外国語の広告でも避けましょう。景品表示法などのルールは、広告の言語に関わらず意識しておく必要があります。
- Googleの広告ポリシーを守る:表現やリンク先の内容について、Google広告のポリシーで定められたルールがあります。審査で配信が止まらないよう、事前に確認しましょう。
- 翻訳の誤りに注意する:料理名や施設のルール、営業時間などの誤訳は、来店後のトラブルにつながります。
- 地図の情報が古いと逆効果:広告で知ってもらっても、地図の営業時間や写真が実態と違えば、来店後の口コミにも影響します。外国語の口コミへの返信はクチコミ返信の例文と運用のコツも参考にしてください。
よくある質問
まとめ:言語を分け、役割を分け、比べて育てる
・2026年の仕様変更で、広告文とリンク先の言語をそろえることがより大切に
・今回の事例では、マップは表示の9割以上・来店行動の6〜7割、検索は少数でも来店行動につながる割合が高かった
・クリック単価ではなく、成果1件あたりの費用で配分を決める
Google広告のインバウンド活用は、最初の設計で「比べられる形」にしておくことが、後の改善のしやすさを大きく左右します。まずは英語のキャンペーンを1つ、広告文とリンク先の言語をそろえて作るところから始めてみてください。
※本記事は2026年10月時点の一般的な情報と、札幌市内の飲食店での広告運用データ(数値は幅で表記)をもとにした編集部の見解です。特定のサービスの利用を勧めるものではなく、同様の成果を保証するものではありません。Google広告の仕様・ポリシーは変更される場合があるため、最新の内容は公式ヘルプでご確認ください。
